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年金記録問題への対応策の進捗状況

 公的年金(国民年金・厚生年金)の加入・納付記録に関しましては、国民の皆様に多大なご迷惑・ご心配をおかけしておりますことを、心よりお詫び申し上げます。
 社会保険庁は、長妻厚生労働大臣の下、長官以下の職員一人一人があらためて気持ちを引き締めて職務に取り組んでおります。
 皆様の大切な年金の記録を一件一件丁寧に確認させていただくため、以下のような取り組みを全力で進めております。
 こうした取組につきまして、今後も、最新の状況を随時お知らせしてまいります。

年金記録問題への対応等のあらまし及び進捗状況

※平成19年7月5日の「年金記録に対する信頼の回復と新たな年金記録管理体制の確立について」(年金業務刷新に関する政府与党連絡協議会)の内容に沿って、平成19年8月の「年金記録適正化実施工程表」(平成19年9月10日改訂、厚生労働省)、平成20年1月24日の「年金記録問題に関する今後の対応」(厚生労働省・総務省)、同年3月14日の「年金記録問題についての今後の対応に関する工程表」(同)、同年6月27日の「年金記録問題への対応の今後の道筋」(同)及び平成21年3月31日の「年金記録問題のこれまでの取組と今後の道筋」(同)に掲載されている事項を中心に掲載しております。

 平成19年10月16日から、年金記録の統合等に係る作業の進捗状況について、月1回を目途に一覧表に取りまとめ、公表しておりますので、直近の進捗状況の全体像をお知りになりたい方は、こちらをご覧ください。

年金記録の統合等に係る作業の進捗状況について(平成21年10月16日現在)








〜 年金記録問題への対応等のあらまし及び進捗状況 〜

[はじめに]

 政府においては、平成19年7月5日に年金業務刷新に関する政府・与党連絡協議会が取りまとめた「年金記録に対する信頼の回復と新たな年金記録管理体制の確立について」の実施作業を順次進めております。年金記録問題を一掃し、公的年金に対する国民の信頼を回復するため、全力を挙げております。
 平成8年までの公的年金制度は、皆様がご加入されていた年金制度の種類ごとの番号により、年金記録を管理していました。そのため、会社から自営業に転職されたり、結婚して退社するなどにより加入する年金制度の種類を移動した場合は、お一人で国民年金や厚生年金などの複数の番号を持つことが多く、その結果、日本の人口を大きく上回る約3億件の年金記録が存在していました。
 平成9年1月から、統一した共通の番号で皆様の年金記録を管理することとし、お一人お一人に付する基礎年金番号を導入しました。基礎年金番号制度を導入するに当たっては、まず、その時点で現に年金を受給していた方と現役加入者の方全員に基礎年金番号を付番し、これを通知しました。(約1億156万人)
 その際に、@他の年金制度に加入していたことがあるか又は他の手帳記号番号を持っておられるかのいずれかに該当する場合はその旨を申し出ていただくよう照会を行い回答を寄せられた方(約916万人)、A基礎年金番号を付番した記録とその他の記録について、氏名、性別、生年月日による名寄せを行い、これらの結果、統合の可能性があると思われた方(約902万人)の合わせて約1,818万人の方に対して照会を行い、照会に対するご本人の回答に基づいて基礎年金番号への統合を進めました。(約927万人)
 その後も、加入者からの年金の請求時やその直前(いわゆる58歳通知の時)にも、ご本人に確認し、基礎年金番号への統合を進めてまいりましたが、平成18年6月現在でなお約5,095万件が基礎年金番号に結び付かないままとなっていました。
 
 その後、未統合記録の存在をはじめとするいわゆる年金記録問題が国民の皆様の信頼を損ねる事態となったため、この問題の解決に向けて、厚生労働省・社会保険庁では、平成19年5月25日に「年金記録への新対応パッケージ」を、同年6月4日に「年金記録問題への新対応策の進め方」を公表しました。また同年7月5日には、年金業務刷新に関する政府・与党連絡協議会により「年金記録に関する信頼の回復と新たな年金記録管理体制の確立について」がとりまとめられ、公表されました(なお、厚生労働省・社会保険庁では、この政府・与党とりまとめに沿って、同年8月23日に「年金記録適正化実施工程表」を公表しています)。
 7月5日の政府・与党とりまとめでは、平成20年3月までを目途に、「5,000万件の未統合記録」と「1億人の方の記録」をコンピュータ上で突き合わせ(名寄せ)し、その結果記録が結び付く可能性がある方々へお知らせすることをはじめ、一連の具体的な対策が掲げられており、社会保険庁としては、この方針に沿って着実に対応策を進めてまいりました。

 その後、平成20年1月24日に、それまでの取組の成果を踏まえ、さらに引き続き政府を挙げて計画的な取組を推進するため、厚生労働省・総務省では、年金記録問題に関する関係閣僚会議に「年金記録問題に関する今後の対応」を提出し、さらに、同年3月14日には「年金記録問題に関する今後の対応に関する工程表」を同閣僚会議に提出し、それぞれ了承されました。

 さらに、同年6月27日の同閣僚会議に「年金記録問題への対応の今後の道筋」を提出し、平成21年3月31日には「年金記録問題のこれまでの取組と今後の道筋」を同閣僚会議に提出し、それぞれ了承されました。
 
 これまでの作業の結果、「5,000万件の未統合記録」と「1億人の方の記録」のコンピュータ上での突き合わせ(名寄せ)を平成20年3月6日に完了しました。また、その結果記録が結び付く可能性がある方へお送りする「ねんきん特別便」は、同年3月末までに発送を完了しました。
 同年4月、5月には、3月までに送付した方以外のすべての受給者への「ねんきん特別便」の送付を完了し、6月からは、3月までに送付した方以外のすべての現役加入者の方に送付し、10月までに送付を完了しました。
 また、「5,000万件の未統合記録」については、こうした「ねんきん特別便」による記録確認と並行して記録の内容に応じた内容の解明作業を進めており、その結果、平成21年9月時点の未統合記録の全体像に関する集計においては、平成18年6月からの統合済み件数が1,257万件、すでにお亡くなりになった方の記録である等一定の解明がなされた記録が1,603万件、名寄せにより「ねんきん特別便」を送付した記録が654万件、住基ネット調査や旧姓による調査など解明作業が進展中の記録が553万件、今後解明を進める記録が1,028万件となっています。

 社会保険庁としては、今後とも、年金記録問題について、国民の皆様のお立場に立って全力をあげて取り組んでまいります。

未統合記録の全体像(平成21年9月)







1. 年金記録のコンピュータ上での突合せ(名寄せ)及びその結果記録が結び付く可能性がある方への「ねんきん特別便」の送付

  (1)年金記録のコンピュータ上での突合せ(名寄せ)

  •  「5,000万件」の未統合記録と約1億人(受給者約3,000万人・加入者約7,000万人)の方の基礎年金番号で管理されている記録とのコンピュータ上での突合せを行い、その結果記録が結び付く可能性がある方々1,030万人に対して、3月末までに「ねんきん特別便」を送付しました。

  •  コンピュータ上の突合せは、氏名、性別及び生年月日の3つの情報等を用いて1次・2次にわたって実施しました。








  •  なお、名寄せに先立って、氏名等が収録されていない記録の調査を行ったところ、5,000万件の年金記録の中にそのような記録が約524万件あることがわかりました。
     こうした記録については、サンプル調査の結果を踏まえ、平成19年9月7日から平成20年1月10日にかけて、記録に記載されている年金手帳記号番号を手掛りに、年金手帳記号番号払出簿等を参照して補正作業を実施した結果、約99%に当たる記録の補正が完了しました。補正のためさらに調査を継続すべき記録については、現在、被保険者名簿等を基に丹念に調査を実施しています。


  (2)「ねんきん特別便」の送付

  •  (1)のコンピュータ上の突合せの結果、記録が結び付く可能性がある方々約1,030万人に、平成19年12月17日から平成20年3月21日までに「ねんきん特別便」を青色の封筒でお送りしました。

     「ねんきん特別便」を受け取られた方々には、ご自分の加入履歴をご確認いただいた上で、必ず回答をいただくようお願いしております。これにより、社会保険事務所等で未統合記録の調査・統合等を進めることができます。


  •  なお、平成20年1月時点における回答状況の調査・分析の結果等を踏まえ、次のような改善策を講じました。

    @  「年金記録問題作業委員会」において取りまとめた「ねんきん特別便に係る今後の情報提供について」等を踏まえて、「ねんきん特別便相談対応マニュアル」を改訂し、社会保険事務所の窓口やねんきん特別便専用ダイヤルでの相談において、結び付く可能性のある記録についてより具体的な情報を提供し、積極的に記憶の呼び起こしを働きかける。(平成20年1月31日〜)

    A  記録確認をよりしやすくするため、加入履歴のチェックポイントを分かりやすく示した資料を同封する。(平成20年2月6日〜)
    (なお、平成20年1月末までに送付した約108万人の方々に対しては、当該資料を、電話や来訪による相談や十分な記録確認等をお願いする文書とともに同封し、平成20年3月末に再度送付いたしました。)

    B  「訂正なし」と回答された方のうち、内容からみてご本人の記録である可能性が高いと考えられる受給者の方(具体的には、「既に基礎年金番号で管理されている記録と今般の名寄せで該当した記録に期間の重複がなく、かつ、未統合記録に結び付く同一氏名等の方が他にいない場合」が対象となります)について、社会保険事務所において、電話や訪問により、結び付く可能性がある記録について具体的な情報を提供し、入念的な照会(フォローアップ照会)を実施する。(平成20年1月25日〜)

     3月までに「ねんきん特別便」をお送りした1,030万人のうち、受給者約9割、加入者約6割の計735万人から回答をいただいており、そのうち「訂正あり」で回答いただいた方は、受給者約3割、加入者は約7割。(平成21年8月末現在)


2. すべての年金受給者及び現役加入者の方への「ねんきん特別便」の送付

  •  平成20年4月から10月までに、3月までにお送りした方以外のすべての年金受給者・現役加入者の方々に「ねんきん特別便」をお送りし、ご自身の記録を確認していただいています。4月からの「ねんきん特別便」は、緑色の封筒でお送りしました。

     まず、平成20年3月までにお送りした方々以外のすべての年金受給者3,395万人の方に、4月と5月に「ねんきん特別便」をお送りしました。受給者のうち、8割を超える3,152万人の方から回答をいただいています(平成21年8月末現在)。

  •  平成20年3月までにお送りした方々以外のすべての現役加入者の方に対しては、6月から10月までを目途に「ねんきん特別便」をお送りしました。加入者のうち、約7割の4,759万人の方からご回答をいただいています(平成21年8月末現在)。

「ねんきん特別便」の様式等

3. 「ねんきん特別便」のフォローアップの徹底

  •  「ねんきん特別便」は、国民の皆様お一人お一人にご自身の記録を確認していただき、回答をしていただくことが何より重要です。このため、国民運動として位置付け、特別便の確認を推進するため、福祉関係団体、経済団体などで構成される「受給者特別便実施円滑化推進会議」、「加入者特別便実施円滑化推進会議」等を設置しました。

     また、厚生労働省においては「「ねんきん特別便」の確認等の推進に関する今後の行動計画」を取りまとめ、「ねんきん特別便」に関する周知・広報などについて老人クラブ、介護・福祉関係者、民生委員等の皆様と連携し、省を挙げた取組を進めています

     さらに、各府省庁等においても、広報誌・ホームページによる広報をはじめ、「ねんきん特別便」の周知・広報に係る各種取組を実施しています。
  • 年金記録の確認に係る周知・広報等の進捗状況


     今後は、3月までにお送りした「ねんきん特別便」に確実にご回答いただくため、引き続き、
    @  年金受給者の方については
    内容からみてご本人の記録である可能性がある「期間重複がない方全体」に拡大し実施している「フォローアップ照会」について、ご本人のものである可能性が高い未統合記録を同封した文書を送付することにより、作業を迅速化した上で実施する
    未回答の方には平成20年4月30日から6月26日までに「回答のお願い」を送付し、なお回答のない方には、平成21年3月12日までに2回目の「回答のお願い」を送付する
    といった取組を進めていきます。
    A  現役加入者の方については、未回答の方には平成20年4月30日から6月26日までに「回答のお願い」を、なお回答のない方には、2回目の「回答のお願い」を送付し、さらになお回答が得られない場合には、平成21年4月より実施している「ねんきん定期便」に記録確認の注意喚起の文書を同封します。特に、記録が結び付く可能性が高い方には、「訂正なし」と回答した方も含め、結び付く可能性のある記録の一部を記載したお知らせを同封します。

  •  4月以降3月までに送付した方以外の受給者・現役加入者の方に送付している「ねんきん特別便」については、
    @  年金受給者の方については、未回答の方には、政府広報等によりきめ細やかな回答の呼びかけを繰り返し行うとともに、なお回答が得られない場合には、平成21年2月から3月に「回答のお願い」を送付しました。
    A  加入者の方については、未回答の方には、政府広報等によりきめ細やかな回答の呼びかけを繰り返し行い、なお回答が得られない場合には、「ねんきん定期便」に注意喚起の文書を同封することにしています。

4. 相談体制の充実

  (1)電話相談窓口の移行

  •  「ねんきん特別便」の送付に伴い設置していた「ねんきん特別便専用ダイヤル」については、4月1日より、今後送付する「ねんきん定期便」に対応するため、「ねんきん定期便専用ダイヤル」に移行しました。(引き続き、「ねんきん特別便」に関するお問い合わせも受け付けています。)

    移行に伴う電話番号の変更はありません(0570−058−555)
「ねんきん定期便専用ダイヤル」

  (2)社会保険事務所の来訪相談等の拡充

  •  社会保険労務士会等の協力を得て、市町村、商工会議所等での巡回相談や社会保険事務所における相談窓口の拡充を行うことにしています。

  •  また、平成20年4月12日(土)から11月までのすべての土日、12月6日、13日、14日、20日、平成21年1月10日、24日、並びに、2月から10月までの第2土曜日及び11月14日、15日、28日、29日に社会保険事務所で相談を実施しています。


  (3)市町村の協力による身近な場所での相談の展開

  •  市区町村のご協力を得て、窓口で次のような取組を実施することにしています。
     現在、多くの市町村で、「ねんきん特別便」に関する相談対応や社会保険事務所への届出代行を実施しています。(平成20年6月13日現在)

    「ねんきん特別便」の趣旨・目的や年金記録の見方、記載内容等についての説明
    年金記録に訂正がある方への年金加入記録照会票の記入方法や年金記録に訂正がない方への確認はがき提出の案内の説明
    加入履歴に漏れや誤りがある場合のそれらの記憶喚起の助言
    年金加入記録照会票等の社会保険事務所への届出代行の実施
    希望する市町村における、窓口装置(WM)を用いた「ねんきん特別便」に関する相談に対する協力
    これらの取組について、市町村広報誌等による周知
  • 市町村における「ねんきん特別便」への協力
    窓口装置を配備している市町村名はこちら

  (4)事業主・労働組合の協力による職域での相談の展開

  •  事業主・労働組合のご協力を得て、社会保険委員等を活用し、事務所において「ねんきん特別便」の趣旨・目的等の説明、加入履歴に係る助言、相談等を実施することにしております。

  •  社会保険委員の方を対象とした研修を随時全国で実施しています。

  (5)社会保険労務士の協力による身近な場所での相談の展開

  •  全国社会保険労務士会連合会の全国的なご協力を得て、平成20年3月より、次のような取組を実施することにしています。平成21年4月から8月にかけて、223市区町村、20郵便局、13農漁協で「ねんきん特別便」に関する相談等を実施しました。

    全国の社会保険労務士事務所及び都道府県社会保険労務士会の年金相談センターにおける無料相談の実施
    協力を得られる市区町村、郵便局、農漁協における、社会保険労務士による相談の実施
    各都道府県社会保険労務士会への窓口装置(WM)の貸与(今後、各社会保険労務士会の対応状況等を踏まえ、貸与台数を拡充)

  •  社会保険事務所において、近隣の社会保険労務士事務所等における無料相談について紹介するとともに、市町村等のご協力を得て、これらの取組に係る周知・広報等を行うことにしています。

  (6)インターネットによる年金記録照会

  •  インターネットにより年金加入記録を照会するためのID・パスワードについては、お申し込みいただいてからご自宅に郵送するまで約2週間となっています。これまでに、約154万人の方がID・パスワードを取得されています。
    今までは加入者の方しかご利用できませんでしたが、平成21年3月16日のお申込みから、老齢基礎年金及び老齢厚生年金の年金受給者の方にもご利用いただけるようになりました。

  ご利用の申込みからユーザID・パスワードの発行まで


インターネットによる加入記録の確認について

5. 広報

  (1)「ねんきん特別便」に係る広報

  •  これまで、「ねんきん特別便」の発送に合わせて、新聞折込広告や、ラジオ・テレビ番組、社会保険庁ホームページ等による広報を集中的に実施し、「ねんきん特別便」の趣旨、加入履歴の確認方法などを周知してまいりました。

     これまでの「ねんきん特別便」の回答状況等を踏まえ、次のような点に留意して集中的な広報を実施してきました。
    ご本人による回答の前に、社会保険事務所や「ねんきん特別便専用ダイヤル」等に照会していただくよう促す
    受け取る年金額が増額となる具体例を示す
    基礎年金番号導入前に(平成8年12月以前)に旧姓で年金に加入していた方に重点的に注意喚起を行う

  (2)いわゆる無年金者の方へのお知らせについて

  •  保険料納付期間が累計で25年に満たないなど、65歳以上であっても年金をお受け取りになっていない方について、新たに年金加入記録が追加され、年金をお受け取りになれる可能性があることから、年金の受給漏れがないかを的確に把握することが必要となります。

  •  しかしながら、社会保険庁においては、いわゆる無年金者の方の氏名・住所などの情報を把握していないため、すべての市区町村のご協力を得て、無年金者の方を多く含むと考えられる介護保険料の普通徴収の対象者に年金記録の確認を呼びかけるお知らせを同封して、市区町村が平成20年度の介護保険料納入告知書等を送付しました。

  •  さらに、21年5月及び7月に、年金を受給していない高齢者を対象として合算対象期間の注意喚起を図るための政府広報(新聞突出し)を実施しました。

  (3)「ねんきん定期便」に係る広報

  •  「ねんきん定期便」について、テレビ、新聞折込等により、周知広報を実施しています。

     また、平成21年4月1日より、「ねんきん定期便」に関する相談に対応するため、「ねんきん定期便」専用ダイヤルを設置しました。

     今後も、「ねんきん定期便」の回答状況等を踏まえ、機動的な広報を実施してまいります。

6. 「今後解明を進める記録等」の解明・統合の推進

  •  「5,000万件の未統合記録」については、「ねんきん特別便」による記録確認や解明作業を進めてきたところ、平成18年6月からの統合済み件数が1,257万件(そのうち、3月までの「ねんきん特別便」の送付を契機とした統合が518万件)、既にお亡くなりになった方の記録である等、一定の解明がなされた記録は1,603万件となっており、これらを除いた今後解明を進める記録は等は1,028万件となっています。

  •  今後解明を進める記録等については、「ねんきん特別便」による記録の確認のための取組と並行して、次の取組により、粘り強く解明・統合作業を進めています。

    @ まず、これまで述べたように、平成20年3月までにお送りした方々以外のすべての年金受給者・現役加入者の方々に「ねんきん特別便」をお送りして、お一人お一人にご自身の記録に漏れがないか等を確認していただき、記録に漏れがあるとの回答をいただいた場合には社会保険事務所等で未統合記録の調査・統合を行います。
    A  こうした取組と並行して、名寄せできなかった要因等に応じた様々な方法により、未統合記録の解明・統合作業を進めています。具体的には、以下のような方策を、効率性・実効性を考慮した手順で実施しています。
    プログラム使用によりカナ氏名が正しく変換されていない可能性がある等の記録の統合を目指し、年金手帳記号番号払出簿等により未統合記録を補正した上でコンピュータ上の調査を行い、その結果記録が結び付く可能性のある方へのお知らせを行う。
    氏名が旧姓のままである記録の統合を目指し、申し出いただいた旧姓等を活用してコンピュータ上の調査を行い、同様にご本人へのお知らせを行う。
    未統合記録と住民基本台帳ネットワークのデータのコンピュータ上の突合せを行い、「基礎年金番号をお持ちでない生存者」「(5年以内に)亡くなられた方」などを特定し、ご本人へのお知らせを行う。
    年金手帳記号番号払出簿による未統合記録の氏名、生年月日、性別の3情報の確認作業を行い、オンライン記録と一致しない記録を特定し、その結果記録が結びつく可能性のある方へお知らせを行う。
    更に残された記録については、過去の事業所・居住市町村への照会を検討する。それでもなお本人特定ができない記録については、開示等も含め取り扱いを検討する。
    これらの作業の結果、年金受給に結びつくと思われる方に対しては「年金記録の確認のお知らせ」を、黄色の封筒でお送りしています。



7. ねんきん定期便
    
  •  保険料納付実績や年金額の見込みなど、年金に関わる個人の情報を、現役世代の皆様にお伝えするため、平成20年4月から「ねんきん定期便」を本格実施することを予定しておりましたが、平成19年12月から平成20年10月まで「ねんきん特別便」を送付した関係から、平成21年4月から送付を開始しました。お知らせの内容については、ご自身の記録を確認していただき、いつでも記録確認の申し立てができるようにするため、当初の予定よりも充実させることにしました。

  • @  平成21年4月から、「ねんきん定期便」を毎月誕生月に送付し、加入期間、年金見込額などを送付することとしますが、平成21年度については、加入者が十分にご自身の過去の納付状況を確かめられるよう、これらに加えて、その加入履歴、過去のすべての厚生年金の標準報酬月額及び国民年金の保険料納付状況(納付、未納、免除等の別)をお知らせします。
    A  平成22年度以降は、国民年金・厚生年金の加入者全員に加入期間、年金見込額、直近1年分の厚生年金の標準報酬月額及び国民年金の保険料納付額をお知らせいたします。
     また、35歳、45歳、58歳の節目の年齢に該当する被保険者には、平成21年度と同内容のものをお知らせいたします。
    B さらに、平成21年度は3月までにお送りした「ねんきん特別便」に未回答の方、及び「訂正なし」と回答した方のうち、ご本人の記録である可能性の高い記録がある方に関しては、封筒の色を変えたり、注意喚起書類を同封しています。

同封する注意喚起書類
封筒の色及び回答票の色
結びつく可能性のある記録の一部を記載したお知らせ 記録確認についての注意喚起の文書 注意を必要とする記録訂正が行われている旨を注意喚起する書類 (封筒) (回答票)
オレンジ
空色
水色
@名寄せ便に未回答の方(蓋然性が高い方)
まる
まる
オレンジ 水色
A名寄せ便に「訂正なし」と回答した方(蓋然性が高い方)
まる
オレンジ
B名寄せ便(蓋然性が高い方以外)又は全員便に未回答の方 まる 空色 水色
C標報遡及訂正事案の可能性がある方(144万件対応) まる オレンジ 水色
特殊な同封物のないパターンについては、通常の封筒(空色)とする。

8. コンピュータ記録と紙台帳との突合せ

  •  国民年金の特殊台帳、厚生年金の被保険者名簿等、市町村が保管する国民年金の被保険者名簿について、計画的にコンピュータ記録と元の台帳を突合せすることとしています。

     こうした元の台帳は8億件超と膨大であることから、突合せについては、優先順位を付けた上で、効率的かつ実行可能な方法で実施することが不可欠です。

     また、現状ではお一人の方の記録が全国の複数の事務所等に散らばって保管されており、このままでは作業が非効率となります。

     このため、一人の方の複数の記録(紙台帳)を一覧表示できる「画像検索システム」を構築した上で、22年10月(目途)から開始し、22年度・23年度において集中的に取り組むこととしています。


厚生年金保険被保険者名簿等のサンプル調査の結果について





9. 厚生年金旧台帳等の記録(「1,430万件」「36万件」)への対応
  
  •  厚生年金旧台帳の記録(「1,430万件」)船員保険旧台帳の記録(「36万件」)は、現在、使用頻度が低いとしてコンピュータ入力されず、マイクロフィルムで管理されています。

     これらの記録については、コンピュータ上の突き合わせに必要な旧台帳の情報を抽出して入力対象者リストを作成し、対象者の旧台帳データをパンチ入力した上で、平成20年3月からコンピュータ記録との突き合わせを行い、ご本人の記録である可能性がある方約68万人に対して、5月29日に「記録のお知らせ」を発送したところです。「記録のお知らせ」は、灰色の封筒でお送りしています。

  •  このうち約58万人(平成21年8月末現在)から回答をいただきました。その後、回答をいただいた方に電話や訪問による調査を行うこととし、約51万人の方と接触し、そのうち約8割の方について、ご本人の記録であると確認できました。

10. 年金記録確認第三者委員会からあっせんのあった標準報酬等の遡及訂正事案等の調査
  
  •  年金記録確認第三者委員会によるあっせん事案の中に、標準報酬月額等が遡及訂正され、社会保険事務所の当時の事務処理の合理性が疑われるものがあったため、第三者委員会によるあっせん事案など17事案の調査を行い、昨年9月、その調査結果を公表しました。
      また、調査した17事案に係る事業所に勤務していた他の従業員のうち、同様の遡及訂正処理が行われている可能性がある方について、事実の確認を行い、必要な記録の訂正を行っています。
  •  年金記録確認第三者委員会のあっせん事案等の分析に基づき、オンライン上の全ての記録から不適正な遡及訂正処理の可能性のある記録として以下の3条件の全てに該当する記録(約6万9千件)を抽出し、うち厚生年金受給者(約2万件)について、昨年10月から、戸別訪問調査を開始し、ご本人による記録確認を行っています。
    <3条件>
    @ 標準報酬月額の引き下げ処理と同日若しくは翌日に資格喪失処理が行われている。
    A 5等級以上遡及して標準報酬月額が引き下げられている。
    B 6か月以上遡及して標準報酬月額が引き下げられている。
  •   約2万件の戸別訪問については、対象者と連絡をとることができないなど戸別訪問を実施することが困難な事例を除き、本年3月末までに、概ね終了しました。
  •  この戸別訪問による記録確認等を契機として、ご本人が給与明細書等を保管されていたり、雇用保険の記録などにより、給与や勤務の実態が確認できるなど、一定の要件に該当する場合については、処理の迅速化を図るために、年金記録確認第三者委員会に送付せず、社会保険事務所段階において年金記録の訂正を行うこととしました。


11. その他の課題への対応

   (1)厚生年金基金と社会保険庁の記録の突合せ

  •  厚生年金基金と社会保険庁の記録の突合せについては、社会保険庁において基金加入記録等のデータを抽出した上で、厚生年金基金への当該データの提供を本年3月から行っているところであり、今後、各厚生年金基金において受給者から優先して加入員記録との突合せを実施した上で、記録が一致しない場合は、事業主等への照会などにより、いずれかの記録について、必要な訂正を行うことにしています。

  • 厚生年金基金の基本的な仕組み
  (2)共済過去記録の基礎年金番号への統合

  •  共済組合等において保有している共済過去記録について、社会保険庁は共済組合等から提供を受けて、平成20年度に、コンピュータ上での突合せを実施し、その結果の照会を行いました。
     今後、皆様方からの照会文書への回答・相談を通じて、平成21年度を目途に基礎年金番号への統合を行います。

  (3)旧令共済組合員期間の厚生年金被保険者期間への通算に関する制度の周知

  •  国家公務員共済連合会から、旧令共済組合員の原票(加入記録)の提供を受けて、社会保険庁において厚生年金等の受給者のコンピュータ記録との突合せを実施し、その結果、年金額が増額となる可能性の高い方(本人又は遺族)に対して、その旨のお知らせを行いました。今後、皆様方からのお知らせ文書への回答・相談や関係機関への照会を通じて、年金額の改定処理を行います。

  •  また、政府広報(平成19年12月)等の各種広報手段を活用することにより、制度の仕組みや手続等の周知を図ります。
    旧令共済組合:終戦により解散した旧陸海軍、総督府の共済組合(旧令共済)の組合期間の一定期間については、厚生年金保険の年金給付に加算することになっています。
  •  
 
  (4)基礎年金番号の重複付番の解消及び発生防止

  •  加入している年金制度を移動する際、又は、同じ制度に加入していても事業所を変更する際に、基礎年金番号の申し出がない場合は、氏名・性別・生年月日・住所を手がかりにして、基礎年金番号を既に付番しているか否かの確認を徹底しています。そして、平成9年8月及び平成12年12月の時点、さらに平成16年度以降は毎年、同一人調査(氏名、性別、生年月日、住所の4項目一致者をいう)を行い、同一人に割り当てられた複数の基礎年金番号(いわゆる重複付番)の解消作業を行っております。
     平成21年6月末時点で判明した4,265件あった重複付番については、平成21年8月末現在では、951件に解消しました。今後とも、社会保険庁職員が皆様を訪問させていただくことと等により個別に照会して、ゼロを目指していきます。


  (5)基礎年金番号で管理しているオンライン記録の整備

  •  基礎年金番号で管理しているオンライン記録について、システム刷新に伴いデータを円滑に移行するための整合性確認作業等を行うことにしています。

  (6)地方庁における紙台帳の保管・管理

  •  地方庁における紙台帳の保管については、社会保険庁保有個人情報管理規定等に基づいた適切な保管・管理を行うよう、引き続き、その趣旨の徹底と指導を行っていきます。
 
  (7)派遣職員等による業務の適切な管理

  • 年金記録問題への対応においては多くの派遣職員等に業務を実施させることが必要となりますが、その際には、指導・監督とパフォーマンスのチェックを徹底していきます。
     
  (8)社会保険庁本庁と市町村・地方庁との連携強化

  • 年金記録問題への取組については、現場の意見や要望を十分に踏まえた対応を実施するため、社会保険庁本庁と市町村・地方庁との連携を一層強化していきます。
     
  (9)年金時効特例法により年金の増額の対象となる方々へのお知らせ

  • 年金記録の訂正による年金の増額分は、5年間の時効により消滅した分を含めて、ご本人又は、お亡くなりになった当時、生計を同じくされていた遺族の方への全額をお支払いできるようになりました。対象となる方は、時効消滅により、受け取ることができなかった年金の増額分があるなどの方々です。
  •  時効特例法の施行日以降、平成21年7月31日までに同法に基づく手続を1,094,381件受け付けており、また、同日までに839,450人に対して、支給決定を行いました。

     平成19年9月28日からは、対象となる方に対して、予め必要な記載事項を印字した手続要旨を順次送付し、ターンアラウンド方式による手続を開始しました。

  • 年金時効特例法の施行

  (10)記録訂正により年金額が変更となる方に対する年金見込額の試算結果について


  (11)保険料着服への対応

  • 社会保険庁として、
     保険料の納付は、大半は金融機関を通した納付であるが、現金による納付の場合は、社会保険事務所の保険料収納等の担当課長が領収証控と保険料を国庫に納付するための現金振込書とを毎日突き合わせること
     保険料納付や記録に関するオンライン入力操作については、あらかじめ指定された職員のみが行える仕組みとし、その職員の操作状況が記録されており、入力結果は、翌日、保険料収納等の担当課長が自ら出力し、入力の元となった帳票と突き合わせることなどを改めて周知・徹底するよう平成19年7月31日に社会保険事務局を通じて、事務所に指示しました。
    また、万一、不適正処理が行われた場合は、刑事告発、免職、損害賠償請求という措置を採るとともに、速やかに公表しています。
   

12. 年金記録確認第三者委員会における記録確認(総務省)

  •  梶谷剛弁護士(前日本弁護士連合会会長)を委員長とする10名の委員から構成される年金記録確認中央第三者委員会が、平成19年6月25日発足しました。(平成21年7月9日現在 25名)
    平成21年12月20日までの状況は、次のとおりです。
    皆様からの申立て  計142,559件 
    年金記録確認中央第三者委員会でのあっせん案 計4,731
    年金記録確認地方第三者委員会でのあっせん案 計36,590件
    社会保険庁による訂正 計12,536件




13. 年金記録問題検証委員会による検証(総務省)


14. 年金業務・社会保険庁監視等委員会による監督(総務省)

  •  葛西敬之氏(東海旅客鉄道株式会社代表取締役会長)を委員長とする6名の委員から構成される委員会が、平成19年7月25日から設置されています。社会保険庁が現在の仕事を抜本的に改め、二度と年金記録のずさんな管理をすることのないよう、社会保険庁において、「年金記録に対する信頼の回復と新たな年金記録管理体制の確立について(平成19年7月5日政府・与党取りまとめ)」が着実に実施されていることと社会保険庁及び全国312カ所の社会保険事務所における仕事ぶり等を監督するため、社会保険庁からの報告の聴取及び評価、監視、調整等を行っています。

  •  今後とも、年金記録に係る問題の解決に向けて、皆様の御意見・御疑問を頂戴しながら、これからの作業を進めてまいりますので、御意見等をお寄せ下さい。
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