特別支給の老齢厚生年金の受給開始年齢の引上げについて
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更新日:2014年5月27日
平成12年の法律改正により、特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)の受給開始年齢が平成25年度から平成37年度にかけて60歳から65歳へ引上げられます。
また、坑内員または船員としての実際の加入期間が15年以上ある方についても平成30年度から平成42年度にかけて65歳へ引上げられます。
この支給開始年齢の引上げに伴い、60歳台前半における老齢厚生年金の繰上げ請求ができることとなりました。
制度の概要について
1. 受給開始年齢の対象の区分について
(1)経過措置の対象となる方
昭和28年4月2日から昭和36年4月1日までの間に生まれた男子の方および昭和33年4月2日から昭和41年4月1日までの間に生まれた女子の方は、特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)の受給開始年齢が生年月日に応じて61歳から64歳となります。
(2)経過措置終了後の対象の方
- 昭和36年4月2日以降に生まれた男子の方
- 昭和41年4月2日以降に生まれた女子の方
昭和36年4月2日以降に生まれた男子の方および昭和41年4月2日以降に生まれた女子の方の老齢厚生年金の受給開始年齢は65歳からとなります。
(3)抗内員・船員の方
抗内員または船員としての実際の加入期間が15年以上ある方で、昭和33年4月2日から昭和41年4月1日までの間に生まれた方は、特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分・定額部分)の受給開始年齢が61歳から64歳となります。
対象となる生年月日と受給開始年齢はこちら(PDF 67KB)です。
2. 繰上げ支給の老齢厚生年金について
平成12年の法律改正により、60歳台前半の特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)の受給開始年齢が生年月日に応じて61歳から64歳までの間に引き上げられることなどにより、60歳台前半における老齢厚生年金の繰上げ請求ができることとなりました。
老齢厚生年金は原則として、「受給開始年齢」から受け取れますが、「受給開始年齢」になる前でも、60歳以降であれば、請求することにより繰上げて年金を受け取れます。
繰上げて年金を受け取ることを希望する場合は、年金見込額や手続き方法等を含め、お近くの年金事務所や街角の年金相談センターでご相談ください。
(1)経過措置の対象となる方
繰上げ請求される場合には次の条件を満たしていることが必要です。
- 特別支給の老齢厚生年金の受給要件を満たしている
- 60歳以上であり、かつ特別支給の老齢厚生年金の受給開始年齢未満である
- 国民年金の任意加入被保険者となっていない
(2)経過措置終了後の対象の方
繰上げ請求される場合には次の条件を満たしていることが必要です。
- 老齢厚生年金の受給要件を満たしている
- 60歳以上65歳未満である
- 国民年金の任意加入被保険者となっていない
(3)「坑内員・船員の方」、「障害をお持ちの方・長期加入者の方で受給開始年齢の特例に該当する方」
「坑内員・船員の方」、「障害をお持ちの方・長期加入者の方で受給開始年齢の特例に該当する方」が特例支給開始年齢に到達する前に経過的な老齢厚生年金の繰上げ請求される場合は、報酬比例部分のほかに「繰上げ調整額」が加算されます。
この「繰上げ調整額」が加算される場合は、老齢基礎年金の繰上げ請求は一部繰上げとなります。
計算式はこちら(PDF 104KB)です。
3. 特別支給の老齢厚生年金の在職老齢厚生年金について
- 経過措置の対象となる方
・60歳から65歳になるまでの在職老齢年金の計算方法
総報酬月額相当額と基本月額の合計が28万円以上の場合、年金額が調整されます。
・65歳以後の在職老齢年金の計算方法
総報酬月額相当額と基本月額の合計が46万円以上の場合、年金額が調整されます。 - 経過措置終了後の対象の方
・年齢に関わらず、総報酬月額相当額と基本月額の合計が46万円以上の場合、年金額が調整されます。
4. 特別支給の老齢厚生年金の年金額の改定について
特別支給の老齢厚生年金および老齢厚生年金の受給権者または繰上げ支給の老齢厚生年金の受給権者が、受給権を取得した後に厚生年金保険の被保険者となった場合、その被保険者期間を含めて年金を再計算する契機は次のとおりです。
- 特別支給の老齢厚生年金または老齢厚生年金を受給している場合
・特別支給の老齢厚生年金受給者が65歳に到達し、特別支給の老齢厚生年金が失権すると同時に老齢厚生年金が裁定されたとき
・厚生年金保険の被保険者資格を喪失し、再加入することなく1ヵ月経過したとき - 経過措置の対象となる方が繰上げ支給の老齢厚生年金を受けている場合
・本来の受給開始年齢に到達したとき(※)
・本来の受給開始年齢に到達以後に厚生年金保険の被保険者資格を喪失し、再加入することなく1ヵ月経過したとき
・65歳に到達したとき
※受給権発生後の被保険者期間は、本来の受給開始年齢に到達するまで年金額に反映されません。 - 経過措置終了後の対象の方が繰上げ支給の老齢厚生年金を受給している場合
・65歳に到達したとき
・65歳到達以後に厚生年金保険の被保険者資格を喪失し、再加入することなく1ヵ月経過したとき
5. 特別支給の老齢厚生年金の加給年金額について
「経過措置の対象の方」、「経過措置終了後の対象の方」ともに、原則として65歳から加給年金額が加算されます。
なお、次の区分により加給年金が開始される時期が異なります。
(1)経過措置の対象の方
- 「一般男子の方・一般女子の方」
1.65歳時点で、老齢厚生年金の額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が240月以上ある場合は、65歳に到達した日
2.65歳時点で、老齢厚生年金の額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が240月未満である場合は、その後の退職改定により被保険者期間の月数が240月以上となった日 - 「坑内員・船員の方」、「障害をお持ちの方・長期加入者の方で受給開始年齢の特例に該当する方」で、老齢厚生年金の額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が240月以上ある場合は、原則、本来の受給開始年齢に到達したとき
(2)経過措置終了後の対象の方
- 「一般男子の方・一般女子の方」、「坑内員・船員の方」、「障害をお持ちの方・長期加入者の方で支給開始年齢の特例に該当する方」ともに次のとおりです。
1.65歳時点で、老齢厚生年金の額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が240月以上ある場合は、65歳に到達した日
2.65歳時点で、老齢厚生年金の額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が240月未満である場合は、その後の退職改定により被保険者期間の月数が240月以上となった日
6. 特別支給の老齢厚生年金の雇用保険法による給付との調整について
老齢厚生年金と雇用保険法による給付との調整については、次のとおり調整が行われます。
- 基本手当との調整
特別支給の老齢厚生年金または繰上げ支給の老齢厚生年金の受給者が、雇用保険法による基本手当を受給した場合は、特別支給の老齢厚生年金または繰上げ支給の老齢厚生年金が支給停止となります。 - 高年齢雇用継続給付との調整
特別支給の老齢厚生年金または繰上げ支給の老齢厚生年金の受給者が、雇用保険法による高年齢雇用継続給付を受給した場合は、在職老齢年金に加えて、高年齢雇用継続給付との調整が行われます。
老齢厚生年金の繰上げ請求時の留意点について
老齢厚生年金は原則として、「受給開始年齢」から受け取れますが、「受給開始年齢」になる前でも、60歳以降であれば、請求することにより繰上げて年金を受け取れます。
繰上げて年金を受け取る場合の主な注意点は次のとおりです。
- 年金額は、生涯にわたって減額されます。
- 老齢基礎年金と老齢厚生年金は同時に繰上げ請求することになります。一方のみ繰上げることはできません。
繰上げて年金を受け取ることを希望する場合は、年金見込額や手続き方法等を含め、お近くの年金事務所や街角の年金相談センターでご相談ください。
障害をお持ちの方・長期加入者の方の定額部分支給開始年齢の特例について (経過措置対象となる方に限ります)
次のいずれかに該当する場合は、特例として、報酬比例部分と定額部分を合わせた特別支給の老齢厚生年金が支給されます。
- 障害の状態(障害厚生年金の1級から3級に該当する障害の程度)になったとき(被保険者資格を喪失(退職)しているときに限ります)
特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)を受けている方(厚生年金保険の被保険者ではない方に限ります)が定額部分の支給開始年齢到達(昭和24年4月2日以後生まれの男性については、65歳到達)前に障害の状態(厚生年金保険法の障害等級3級以上)になった場合、障害者特例の適用を受けることができ、受給者の請求により翌月分から報酬比例部分に加えて定額部分も支払われます。なお、障害年金を受給中の方の請求は、特例の適用を受けられる状態になった時点にさかのぼって請求したものとみなされ、その翌月分以降、報酬比例に加えて定額部分が支払われます。(ただし、平成26年4月より前にはさかのぼりません)
※「年金請求書」とは別に「障害者特例請求」の手続きを行う必要があります。 - 長期加入者の方(厚生年金保険の被保険者期間が44年以上の方で被保険者資格を喪失(退職)しているときに限ります)
該当したときに被保険者である場合は、退職した月の翌月(退職が月末の場合は、退職した月の翌々月)から年金額が改定され、報酬比例に加えて定額部分が支払われます。