協定相手国別の注意事項(カナダ)

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更新日:2022年1月17日

1.ケベック州独自の年金制度の取り扱い

社会保障に関する日本国とカナダとの間の協定(以下、「日・カナダ協定」)は、カナダ側については、老齢保障制度(OAS:Old Age Security)およびカナダ年金制度(CPP:Canada Pension Plan)という2つの年金制度のみを対象としております。
2007年9月現在、これらの制度とは別にケベック州に独自の年金制度(QPP:Quebec Pension Plan)が存在していますが、このQPPは日・カナダ協定の対象となっていませんので、日本の年金制度との間で適用調整や年金加入期間の通算を行いません。

2.日本の年金制度と適用調整を行うカナダの年金制度

前述のとおり、日・カナダ協定は老齢保障制度(OAS:Old Age Security)およびカナダ年金制度(CPP:Canada Pension Plan)という2つの年金制度を対象としています。
ただし、老齢保障制度(OAS)については、保険料ではなく税を財源としているため、日本の年金制度との間で適用調整をするのは、社会保険方式のカナダ年金制度(CPP)のみとなっています。

3.海上航行船舶の乗組員などの取り扱い

カナダの年金制度上、海上航行船舶の乗組員の雇用主の所在地(国)の法が適用されることとなっており、両国の法令が二重適用されるという事態は想定されません。
そのため海上航行船舶の乗組員特有の取り扱いはありません。

4.6カ月ルール

日本の企業からカナダに派遣される場合、カナダ年金制度の適用免除を受けるためには、カナダに派遣される直前に、原則として6カ月以上継続して日本で就労、または居住し、日本の年金制度に加入していることが条件として追加されます。
また、カナダの企業から日本に派遣される場合も、同様の条件が必要となります。

5.関連企業への派遣について

カナダの制度では、カナダの雇用主の日本の関連企業については、カナダの所得税法およびその他の関連法令に照らして、カナダ歳入庁により「関連企業」と認められた場合にのみカナダ年金制度(CPP)が適用されます。日本の年金制度の適用免除を受けるためには、派遣される日本の企業は、カナダの派遣元の関連企業でなければなりません。

6.派遣期間の延長について

不測の事情など特別の事情があり5年を超えて派遣(自営活動)期間が延長される場合については、個別の審査により、3年を超えない期間は派遣先の年金制度が引き続き免除される場合があります。
延長が認められなかった場合は、派遣先の国の制度にのみ適用されることとなります。

7.カナダ年金制度の保険期間の日本の年金制度への通算方法

日本の年金加入期間のみでは日本の被用者年金制度および国民年金の年金給付の受給資格要件を満たさない場合には、カナダ年金制度(CPP)の保険期間を算入することができます。なお、老齢保障法(OAS)によるカナダ居住期間は算入できません。
この場合、カナダ年金制度法による暦年ごとの1年の保険期間を日本の12カ月として算入します。
ただし、日本の年金加入期間と重複する期間は、考慮しません。

8.日本の年金加入期間のカナダ年金制度への通算方法

少なくとも1年間の老齢保障法(OAS)によるカナダ居住期間またはカナダ年金制度法(CPP)による保険期間がある人について、カナダの居住期間または保険期間のみでは給付を受ける権利を確立できない場合に日本の年金加入期間を通算することができます。
ただし、カナダの期間と重複する日本の期間は、考慮しません。

老齢保障制度(OAS)における通算方法【カバレッジ・リンク】

協定発効前後を問わず、カナダの領域内で就労し日本の法令の適用を受ける人については、その就労期間を老齢保障法(OAS)上の居住期間とみなしません。(カナダ年金制度には何ら影響はありません)
また、カナダの領域で就労し日本の法令の適用を受ける人と同居している配偶者などについては、自らの雇用または自営活動を理由としてカナダ年金制度(CPP)またはケベック州年金制度(QPP)の適用を受ける場合を除き、その期間を老齢保障法(OAS)上の居住期間とみなしません。

カナダ年金制度(CPP)における通算方法

日本の年金加入期間が少なくとも3カ月ある一暦年を1年の保険期間として考慮します。
なお、カナダ年金制度(CPP)の退職年金には最低加入期間の要件がないため、日本の年金加入期間を通算しなくとも受給することができますが、一方、カナダ年金制度の遺族年金および障害年金には最低加入期間と同様の要件があるため、この通算措置により受給が可能となる場合があります。

9.カナダ年金の消滅時効について(申請受付開始年月日)

原則として、カナダの年金は、受給開始年齢到達日の属する月の翌月、または申請した日の属する月の翌月に受給権が発生します。
また、各月支給額の消滅時効は、老齢保障制度の老齢年金については11カ月、カナダ年金制度の退職年金については12カ月となっています。
老齢保障制度の老齢年金の申請は64歳から受け付けることができます。
※カナダ年金制度の退職年金の申請は、受給権発生6カ月前から受け付けることができます。
受給権発生日については、申請書の記入要領を参照してください。

10.カナダの年金の受取方法

日本に在住している人は、以下の(1)~(3)の方法から選択して、カナダの年金を受給します。
(1)日本の住所地に郵送される小切手による支払い(日本円またはカナダドル)
(2)カナダ国内の銀行口座がある場合は、その口座への振り込み
(3)日本の金融機関口座への振り込み※

※日本の金融機関口座への振り込みを希望する方は別途「海外振込申請書」の提出が必要になります。

入手先

(3)の注意点

  • 「海外振込申込書」は英語または仏語で記入してください。(ご記入の際の参照用に「海外振込申込書」の日本語仮訳を掲載していますが、正式な申請書としては使用できませんのでご注意ください。)
  • 振込先となる日本の金融機関は「全銀ネット」(全国銀行資金決済ネットワーク)に加入している必要があります。詳しくは金融機関にご確認ください。
  • 小切手によりカナダ年金を受け取っている方や、カナダ年金を申請中で日本の金融機関口座への振り込みを希望する方は「海外振込申請書」に記入のうえ、下記送付先へ直接郵送してください。
    送付先
    宛先: Receiver General for Canada
    住所: PO Box 5000, Matane QC G4W 4R6, Canada
  • ご不明な点は、「海外振込申請書」の記入要領に記載されている日本居住者向けの電話相談窓口(英語または仏語のみ対応・通話料無料)にご連絡ください。日本年金機構においては本件に係るお問合せにお答えできませんので、あらかじめご了承ください。

11.カナダ在住者の所得税の取り扱い

日本とカナダとの間では、租税条約を締結していますが、年金条項がないために、それぞれの国で支払われる年金について、その支払国の租税法により課税されます。