協定相手国別の注意事項(フランス)
ページID:140010060-247-989-071
更新日:2022年10月3日
1.海上航行船舶の乗組員の取り扱い
フランスの旗を掲げる海上航行船舶において被用者として就労している者であって、日本の事業主から報酬を受けており、日本に住所を有している場合は、期限の限定はなく、日本の社会保障制度に加入し、フランスの社会保障制度の加入が免除されます。
(日本に住所を有していない場合はフランスの社会保障制度が適用となり、日本の社会保障制度が免除されます)
また、フランスの旗を掲げる海上航行船舶において自営活動を行う者は、期限の限定はなく、フランスの社会保障制度に加入し、日本の社会保障制度の加入は免除されます。
適用証明書の交付手続きについては、被用者または自営業者の取り扱いと同様になります。
2.労働災害に対する保険の加入および随伴被扶養者の事業主確認
日本からフランスへ一時派遣される人については、日本の労働者災害補償保険の海外派遣者の特別加入制度またはこれに準ずる保険に加入していることを条件として、フランスの社会保障制度が免除されます。
被保険者を一時派遣する事業主は、年金事務所へ適用証明書の交付申請をする際に、一時派遣される被保険者が日本の労働者災害補償保険の海外派遣者の特別加入制度またはこれに準ずる保険に加入していることを確認した旨および加入番号を「事業主確認用紙」に記入し、年金事務所に提出してください。
なお、一時派遣される被保険者が被扶養配偶者または子を随伴する場合には、「事業主確認用紙」に記入し、事業主が確認のうえ提出してください。
3.自営業者の一時就労について
フランスとの社会保障協定においては、相手国で一時的に自営活動を行う自営業者についての条文は設けられていません。
ただし、個別の申請に基づいて、フランスの実施機関との協議により、フランスの社会保障制度への加入の免除が認められる場合があります。
4.1年インターバルルール
日本からフランスへの派遣が2回目以降の場合は、直近の一時派遣によるフランスでの就労期間が終了した時点から次の一時派遣による就労期間が開始する時点までの間に少なくとも1年が経過していることが必要です。
フランスから日本への派遣についても同様です。
5.一時就労期間の延長について
予見できない事情など特別の事情があり5年を超えて派遣(自営活動)期間が延長される場合についても、原則として、延長は認められません。
事情によっては1年を限度として認められることがありますが、延長が認められなかった場合は、当初派遣から5年以降は、派遣先の国の制度にのみ適用されることとなります。
6.協定発効時の経過措置
協定の発効時において、それ以前から既にフランスに派遣されている人について、協定発効日から5年以内に派遣が終了する見込みであれば、一時派遣者として、協定発効後のフランス社会保障制度の加入が免除されます。
ただし、フランスの健康保険証を返還し、フランスの社会保障制度から脱退することが免除を受けるための一つの要件となり、返還日の属する月よりフランス社会保障制度の加入が免除されます。
協定発効月の末日までに健康保険証が返還されなければ、それまでの期間はフランス社会保障制度の加入は免除されず、日本の社会保障制度への加入が免除されることになります。
(なお、協定発効月後に健康保険証が返還された場合であっても、フランス社会保障制度の加入免除期間は、協定発効日より起算して最長5年となります)
協定発効時において健康保険証を所持していなかった方については、特例的な取り扱いを行うこととし、協定発効日に遡ってフランスの社会保障制度への加入が免除されます。
日仏社会保障協定発効時においてフランスの健康保険証を所持していなかった方の手続きについて(PDF 310KB)
適用証明書の交付申請をする際には、フランスの医療保険一次金庫等へ健康保険証を返還したことを一時派遣者が自己申告した「移行期間付帯文書」を添付してください。
なお、協定発効時においてフランスから日本へ一時派遣されている人については、協定発効日からフランスの社会保障制度にのみ加入することとなります。
7.フランス年金加入期間要件への日本期間の通算方法
フランスの法令では、一般制度の老齢年金および遺族年金の支給要件には最低加入年数がないため、フランス法令に基づく保険期間がある場合には、日本の年金加入期間の通算を行わなくてもフランス年金の受給権は確立されます。
しかし、障害年金および一部の特別制度(フランス国鉄、フランス電気ガス公社など)は1年以上の最低加入期間を設定しています。
フランス法令に基づく保険期間のみでフランス年金の受給権を確立することができない場合は、協定により日本の年金加入期間をフランスの年金加入期間とみなして取り扱われます。
8.フランス年金の計算方法
フランス一般制度等の老齢年金および遺族年金の給付額の計算については、協定が発効したことにより、次の2とおりの方法で計算を行い、協定の適用による計算方法の額が高い場合は、協定を適用してフランス年金が支給されます。
- 協定の適用によらない計算方法
フランス期間のみに基づいて決定される。 - 協定の適用による計算方法
フランスと日本の期間の合計期間に基づいて決定される。
協定発効前からフランスの年金を受給されている方は1の方法で計算された額を受けている方々ですが、2の方法で計算されたほうが有利になる可能性があります。
9.フランス年金の消滅時効
フランスの年金の請求は、受給権発生の6カ月前から請求手続きを行うことが可能です。
また、フランス年金制度においては、受給権発生月以降に申請を行った場合、申請を行った月の翌月分からの支給となります。
受給権発生月まで遡ることはありませんのでご注意ください。
10.フランス年金の受取方法
フランスの年金は、毎月1回、支払いが行われます。日本に居住している人には、SWIFTコードを持つ日本の金融機関へ日本円またはユーロで振り込まれます。
また、フランスの年金の受給のためには、生存証明書の提出が必要となりますが、日本在住の方でフランスの年金を受給している方については、日本の住民票が正式な書類として受理されます。その際、住民票の翻訳書は不要となります。
詳細は、在日フランス大使館ホームページ(外部リンク)をご覧ください。
11.フランスの年金加入期間と日本の年金加入期間の通算方法
フランスの年金加入期間は、暦年中の収入に応じて付与される「四半期」を単位としています。
日仏両国では、年金加入期間の単位が異なるために相手国の年金加入期間を自国の年金加入期間に通算する場合には、フランスの1四半期を日本の3カ月の年金加入期間と同等の期間として換算します。
12.障害厚生年金などの支給要件の特例について
フランスにおいては、年金加入記録が四半期毎に管理されており、初診日などを特定することができませんが、以下の事例に示すように初診日の属する暦年において、最低1四半期のフランス年金加入期間を有していれば、日本の年金制度に加入していたものとみなすこととしています。
13.フランスへの派遣期間の延長申請を行う場合の「補足情報」の提出について
派遣期間の延長申請を行う場合、フランス実施機関での延長協議に係る審査が円滑かつ迅速に行われるようフランス実施機関に対して「補足情報」を下記様式に記載して提出することが推奨されております。「日・フランス社会保障協定 厚生年金・健康保険 適用証明書期間継続・延長申請書」または、「日・フランス社会保障協定 国民年金・国民健康保険 適用証明書期間継続・延長申請書」と同時に当該「補足情報」を提出していただければ、日本年金機構を通じてフランス実施機関に送付いたします。
※記載部分を仮訳し、記入要領を付したものであり、提出用の様式ではありません(回答はフランス語の様式を使用してください)。
なお、当該「補足情報」の提出は強制ではありません(提出がない場合にもこれまでと同様に延長申請は行えます)。また、記載につきましては、日本語、英語、フランス語の使用が可能ですが、フランス語または英語で記載すれば、延長申請の審査期間が短縮される可能性があるとの連絡を受けています。
14.フランス在住者の所得税の取り扱い
フランスに居住している人が日本の年金を受給する場合、年金に対する所得税はフランスで課税対象となり、日本では非課税となります。
この取り扱いを受けるためには、「租税条約に関する届出書(様式9)」を提出する必要があります。
届出書を日本の 国税庁のホームページ(外部リンク)から取得して、二部作成し、日本年金機構本部に提出する必要があります。