協定相手国別の注意事項(アメリカ)

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更新日:2023年4月7日

1.海上航行船舶の乗組員の取り扱い

日本国の旗を掲げる海上航行船舶または合衆国の船舶の乗組員としての雇用について両締約国の法令が適用されることとなる者については、当該雇用に関し、その人が通常居住する領域の属する締約国の法令が適用されます。
この場合、期間の定めはありません。
適用証明書の交付手続きについては、被用者の取り扱いと同様になります。

2.日本の医療保険制度が免除されない事例

アメリカから日本に一時派遣される人が、アメリカの社会保障制度に引き続き加入する場合、アメリカの民間医療保険に加入している場合に、日本の医療保険制度への加入が免除されることになります。また、配偶者や子などが一緒に日本に滞在する場合には、その全員が民間医療保険に加入していなければなりません。もし、本人および家族の中に民間医療保険に加入していない人がいる場合は、本人および家族の全員について日本の医療保険制度への加入が免除されないことになります。

3.6カ月ルール

日本の企業からアメリカに派遣される場合、アメリカの社会保障制度の免除を受けるためには、アメリカに派遣される直前に、原則として6カ月以上継続して日本で就労、または居住し、日本の社会保険制度に加入していることが条件として追加されます。
また、アメリカの企業から日本に派遣される場合も、同様の条件が必要となります。

同様に、日本での自営業者がアメリカで一時的に自営活動をする場合、アメリカの社会保障制度の免除を受けるためには、アメリカで就労を開始する直前に、原則として6カ月以上継続して日本において自営活動を行い、かつ日本の社会保険制度に加入していることが条件として追加されます。アメリカ国内での自営業者が日本で一時的に就労する場合においても、同様の条件が必要となります。

4.国際線航空機乗務員の取り扱い

航空機の乗組員として就労する人について日米両国の制度が適用される場合は、航空会社の本社がある国の制度のみを適用することになります。

5.期間延長について

5年の期限を超えて、派遣期間を延長される場合は、延長される期間に応じて以下のような理由を届け出る必要があります。

(1)5年の期限を越えて3年まで延長の場合

派遣先国での就労延長の理由が、予見不可能であり、かつ、単に派遣先国の適用免除を延長する目的でないことが明らかな場合。
例えば以下のような場合です。

  • あるプロジェクトに関わっていたところ、終了が予期せず遅延した場合
  • 就学年齢の子どもがおり、就学年の終了まで派遣先国にとどまりたい場合

(2)5年の期限を越えて3年超4年までの延長の場合

予見不可能なことに加え、就労期間の延長が企業もしくは被用者もしくはその家族の重大な困難を避けるために必要な場合。
例えば以下のような場合です。

  • 予定していた後任が、予期せず辞職または障害に陥るもしくは亡くなり、新たな後任が指名、訓練されるまで時間を要する場合
  • 企業が他の企業に買収もしくは再編され、その移行のために、派遣されている人が不可欠な場合

6.協定第4条1該当者

(日本制度の適用を受けるアメリカからの派遣者や自営業者など)
アメリカから日本に長期派遣される人や日本の事業所に直接採用されて就労する人は、原則として日本の社会保障制度のみに加入することになり、アメリカの社会保障制度の加入が免除されることになります。

ところで、アメリカの社会保障制度においては、アメリカ国籍者(アメリカの永住権を持つ非アメリカ国籍者を含む)は、日本で就労していてもその所得に対してアメリカの社会保障税を課税される場合がありますが、長期派遣者などが日米協定に基づいて日本の社会保障制度のみに加入する場合、そのことを証明する適用証明書の交付を受ける必要があります。
適用証明書の交付を受けるためには、日本の社会保障制度への加入が条件となります。前述した、日本からアメリカへ派遣される場合の手続きに準じ、原則事業主(自営業者の場合は本人)が、年金事務所に「適用証明書交付申請書」を提出することにより、交付を受けることができます。交付された適用証明書を、アメリカの勤務先もしくはアメリカの内国歳入庁に提示することで、アメリカの社会保障制度の加入が免除されます。

7.アメリカ年金加入要件への日本期間の通算方法

アメリカの1クレジットは日本の3カ月の年金加入期間と同等の期間として換算します。
なお、日米協定により日本の年金加入期間を通算しアメリカ年金を受給するためには、アメリカ年金のクレジットが最低6クレジットあることが条件となっています。

8.アメリカ年金の消滅時効

アメリカ年金制度における時効の取り扱いについては、退職年金の場合で6カ月、障害年金の場合で12カ月となっています。
アメリカの退職年金の請求は、受給権発生の3カ月前の初日から手続きを行うことが可能です。

9.アメリカ年金の申請方法

(1)日本での申請方法

協定によりアメリカの年金の請求を日本の年金事務所および年金相談センターの窓口で行うことができます。

年金事務所および年金相談センターでアメリカの年金を請求する場合は、窓口に備え付けてある「合衆国年金の請求申出書」にアメリカ社会保障番号(Social Security Number)、氏名、生年月日、住所など必要事項を記入し提出してください。この申出書に必要な添付書類は、戸籍謄(抄)本、基礎年金番号通知書(年金手帳含む)または年金証書の写しとなります。

「合衆国年金の請求申出書」に記入された情報は、日本年金機構を経由して、合衆国大使館領事部年金課に送付されます。後日、記載した電話番号に、正式なアメリカ年金請求の聞き取りのため、合衆国大使館領事部年金課の日本語を話せる職員から照会が行われます。
アメリカ年金請求に関してのお問い合わせは合衆国大使館領事部年金課(電話番号03-3224-5000で年金課と申し出てください。音声回答の場合は氏名・電話番号を録音いただければ折り返し電話されます。)に行うことができます。

(2)アメリカ国内での申請方法

アメリカでの申請方法については、アメリカ国内法令に基づいて行われます。詳細については、以下のアメリカ社会保障庁のホームページにて確認願います。

10.年金の受取方法

アメリカの年金は、毎月1回、支払いが行われます。
日本に在住している人は、以下の方法から選択して、アメリカの年金を受給することができます。
(1)日本円による、日本国内の銀行口座への振り込み
(2)米ドルによる、アメリカ国内の銀行口座への振込み

11.アメリカの年金加入期間の算入について

アメリカの年金加入期間は、暦年中の収入に応じて付与されるクレジットという単位でカウントされます。日米両国では、年金加入期間の単位が異なるために相手国の年金加入期間を自国の年金加入期間に通算する際には、アメリカの1クレジットを日本の3カ月の年金加入期間を同等の期間として換算します。

なお、日米協定に基づき日本の障害・遺族年金を受けるためには、「障害の初診日もしくは死亡日などの直前2年間のうち1年間分のアメリカの年金加入期間があること」という条件もあります。

12.日本の障害厚生年金などの支給要件の特例

アメリカの年金制度では、暦年における実際の就労月とクレジットは関連性がないため、次の条件を満たした場合にのみ日本の年金制度に加入していたものとみなすこととしています(障害年金または遺族年金)。
(1)初診日(死亡日)が属する暦四半期までの8暦四半期中に、少なくとも4四半期分のクレジットが付与されていること。(8分の4要件)

8暦四半期

(2)初診日(死亡日)が属する暦四半期までの13暦四半期中に、少なくとも6四半期分のクレジットが付与されていること。(13分の6要件)

13暦四半期

13.アメリカ在住者の所得税の取り扱い

アメリカで居住している人が日本の年金を受給する場合には、日米租税条約に基づいてアメリカで課税対象となります。
この取り扱いを受けるためには、「租税条約に関する届出書」のほか、「特典条項に関する付表」を1部提出する必要があります。
なお、様式はこちらをご確認ください。