協定相手国別の注意事項(オーストリア)

ページID:140010060-642-455-199

更新日:2025年10月27日

1.適用調整の対象となる制度について

日オーストリア協定において適用法令の調整が行われる対象となる制度は、以下のとおりです。
日本側は年金制度、医療保険制度、雇用保険制度が対象です。
オーストリア側は年金制度、疾病保険制度、災害保険制度、失業保険制度が対象です。

(1)日本からオーストリアに一時派遣される被用者の場合
日本からオーストリアに5年を超えない見込みで派遣される被用者は、日本の年金制度に加入していること等を条件として、派遣を開始した日(協定発効日以前からすでに派遣されている方は協定発効日)から当該派遣が終了するまでオーストリアの年金制度と失業保険制度は加入免除となります。ただし、医療保険制度は、日本の医療保険制度に加えて、オーストリアの在留許可の関係上、オーストリアの疾病保険制度にも加入することになります。また、オーストリアの災害保険制度にも加入することになります。

(2)日本の居住者である自営業者がオーストリアで自営業を行う場合
日オーストリア協定がないと両国の法令に基づく制度に加入することとなる自営業者は、当該就業が終了するまで、オーストリアの年金制度は加入免除となります。ただし、医療保険制度は、日本の医療保険制度に加えて、オーストリアの在留許可の関係上、オーストリアの疾病保険制度にも加入することになります。また、オーストリアの災害保険制度にも加入することになります。

(3)オーストリアから日本に一時派遣される被用者の場合
オーストリアから日本に5年を超えない見込みで派遣される被用者は、オーストリアの年金制度に加入していること等を条件として、派遣を開始した日(協定発効日以前からすでに派遣されている方は協定発効日)から当該派遣が終了するまで日本の年金制度と雇用保険制度は加入免除となります。ただし、医療保険制度は、オーストリアの疾病保険制度に加えて、日本の医療保険制度にも加入することになります。

(4)オーストリアの居住者である自営業者が日本で自営業を行う場合
日オーストリア協定がないと両国の法令に基づく制度に加入することとなる自営業者は、当該就業が終了するまで、日本の年金制度は加入免除となります。また、日本の医療保険制度も加入免除となります。

(1)および(2)に該当する者は、日本で適用証明書の発行手続きを行ってください。過去にオーストリアの社会保障制度に加入していたことがある場合は、日本で発行された適用証明書の裏面に、ご自身のオーストリアの社会保障番号を記入してください。適用証明書が交付された後、オーストリアの疾病保険機関で、オーストリアの疾病保険制度等の加入手続きを行ってください。また、協定発効前から派遣されている方については、年金制度等の資格喪失手続きもあわせて行ってください。

(3)および(4)に該当する者は、オーストリアの実施機関から適用証明書の発行を受けてください。

2.海上航行船舶の乗組員の取り扱い

両締約国の法令の適用を受ける被用者が、一方の締約国の旗を掲げる海上航行船舶において就労している場合、その旗を掲げる国の法令が適用になりますが、当該被用者が他方の締約国に所在する雇用者に雇用されている場合は、その者が一方の締約国の居住者でない限り、当該雇用者の所在する国の法令が適用になります。
適用証明書の交付手続きについては、被用者の取り扱いと同様になります。

3.国際線航空乗組員の取り扱い

国際運輸に従事する航空機において被用者として就労する場合、その者の雇用者の所在する締約国の法令のみを適用します。
適用証明書の交付手続きについては、被用者の取り扱いと同様になります。

4.一時派遣期間の延長について

派遣期間が5年を超えて継続される場合には、当初の派遣期間と延長期間の合計が8年を超えないことを条件に、両国の関係機関間で個別に協議のうえ、合意した場合に限り、引き続き派遣元国の制度にのみ加入することができます。

5.協定発効日以前からオーストリアに派遣されている方の手続き

協定発効日以前からすでにオーストリアで就労している被用者も協定発効日から起算して5年を超えないと見込まれる期間内で派遣等が終了する予定であれば、日本の制度のみに加入し、オーストリアの制度の加入が免除されます。
この場合、協定発効日以降に日本年金機構に適用証明書交付申請書を提出し、適用証明書の交付を受けてください。その後、オーストリア当局へ適用証明書を提示し、オーストリア制度からの脱退手続きを行ってください。

6.オーストリアから日本に派遣される者等の随伴家族の適用免除

オーストリア協定では、オーストリアから日本への一時派遣者の随伴家族は日本の年金制度のみ免除となり、日本の国民健康保険制度および後期高齢者医療制度は免除されません。オーストリアを居住地として日本において就労する自営業者の随伴家族または公務員の随伴家族の場合、日本の年金制度が免除となり、日本の国民健康保険制度および後期高齢者医療制度については、当該随伴家族がオーストリアの疾病保険制度に加入している場合(※)に限り適用が免除されます。
なお、日本の制度の加入が免除の扱いとなる方でも、希望する場合は、届出をして加入することができます。

※日本の国民健康保険制度および後期高齢者医療制度の免除にあたっては、自営業者または公務員についてオーストリア側が発給した適用証明書(写し)に加えて、随伴家族がオーストリアの疾病保険制度に加入していることを示すオーストリアの疾病保険機関による証明(紙)を持参のうえ、市区町村役場等の医療保険窓口において、お手続きください。国民健康保険制度に関するご質問等は、厚生労働省保険局国民健康保険課企画法令係、随伴家族が75歳以上の場合における後期高齢者医療制度に関するご質問等は高齢者医療課企画法令係(電話番号はいずれも03-5253-1111)までお問い合わせください。また、オーストリアの疾病保険機関による証明に関する質問等は、オーストリアの疾病保険機関(自営業者:SVS、公務員:BVAEB)にお尋ねください。

7.オーストリア年金加入期間要件への日本期間の通算方法

オーストリアの保険期間だけではオーストリアの給付を受ける要件を満たさない場合、オーストリアの保険期間と重複しない限りにおいて日本の保険期間(※)をオーストリアの保険期間とみなし通算することができます。ただし、オーストリアの保険期間が1年未満である場合には、この取り扱いは行われません。
オーストリアの老齢年金の受給要件のうち受給資格最低加入期間については、保険期間が180カ月(15年)、そのうちの保険期間のうち84カ月(7年)以上は有償就労期間(収入をともなう活動による強制保険の保険料納付期間)である必要があります。(1954年12月31日以前に生まれた者は別途加入年数の条件があります。)
このオーストリアの有償就労期間には、日本で被用者または自営業者として有償就労していた期間を通算することができます。要件等の詳細は、オーストリア実施機関へお問い合わせください。

8.日本年金加入期間要件へのオーストリア期間の通算方法

日本の年金保険期間のみでは日本の受給資格要件を満たさない場合に、重複しない限りにおいて、オーストリアの年金保険期間を日本の年金保険期間に算入することができます。
通算して年金の受給資格要件を満たせば、日本の年金保険期間に応じた年金が支給されます。

9.オーストリアの老齢年金の申請

オーストリアの老齢年金の申請は、受給権発生の6カ月前から行うことができます。
オーストリアの老齢年金は、受給権発生後に申請しても遡及して支給されませんが、その分増額されます。

10.オーストリアの年金の受取方法

日本に在住している方は、日本国内の銀行口座によりオーストリアの年金を受け取ることができます。

11.オーストリア在住者の所得税の取り扱い

オーストリアに居住している方が日本の年金を受給する場合、年金に対する所得税はオーストリアで課税対象となり、日本では非課税となります。
この取り扱いを受けるためには、「租税条約に関する届出書(様式9)」を提出する必要があります。届出書を新規ウインドウで開きます。日本の国税庁ホームページ(外部リンク)から取得して、二部作成し、日本年金機構本部に提出する必要があります。