協定相手国の年金支給の特例

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更新日:2024年3月8日

1.年金加入期間通算の仕組み

協定相手国の年金を受けるためには、一定の期間年金制度の被保険者でなければならないという受給資格要件が定められている場合があります。そのため、加入期間が短いために年金を受けられず、納めた年金保険料が掛け捨てになってしまうことがありました。すなわち、過去に協定相手国内で一時的に就労したことのある場合は、加入期間が短いために協定相手国の年金を受給することができない場合がありました。

(例)ドイツ老齢年金の場合

協定発効前

【協定発効前】の図

※ドイツの老齢年金の受給資格要件は5年間年金制度に加入していたことですので、上記の場合は2年不足するために、ドイツの老齢年金を受給することができません。

しかし、協定相手国との間では、日本の年金加入期間を協定相手国の年金制度に加入していた期間とみなして取り扱い、日本の年金加入期間を通算することで、年金受給権を獲得できるようになりました。

協定発効後

【協定発効後】の図

※ドイツの年金加入期間(3年)はドイツの老齢年金の受給資格要件(5年間の年金制度加入)を満たしませんが、日本の年金加入期間を通算すると5年以上になるので、ドイツの老齢年金を受給できることとなります。

年金加入期間通算とは、協定相手国の年金制度の加入期間のみでは、受給資格要件を満たさない場合に日本の年金制度の加入期間を協定相手国の加入期間とみなし、年金加入期間を通算することにより、協定相手国の年金を受けられるようにするものです。

ただし、両国の年金制度に二重に加入していた期間は、年金加入期間の通算に当たっては、二重にカウントしません。

二重加入があった場合

年金加入期間の通算とは、両国の年金加入期間をまとめての一方の国から年金を受けるという仕組みではなく、それぞれの国で年金受給権を得るための受給資格要件を判断する場合に相手国の年金加入期間を通算するという仕組みです。したがって、年金を受けるときには、両国の年金制度にそれぞれ加入した期間に応じた年金を、それぞれの国から受けることになります。
同様に、障害年金および遺族年金についても受給資格要件(年金加入期間の要件)を満たす必要がある場合は、日本の年金加入期間を通算することができます。

協定相手国別の注意事項


英国、韓国、中国およびイタリアとの協定については通算規定がないため、記載していません。

2.協定に基づく年金額の計算の特例

協定により日本の年金加入期間を通算することによって受給資格要件を満たした相手国の年金給付については、協定相手国の年金加入期間の実績に応じた年金額が支給されます。
協定の内容によっては、協定相手国の年金額を計算する際に日本の年金加入期間を考慮して支給額の計算をする場合があります。

3.協定相手国外での年金の受給

その他協定相手国年金の受給に関する取り扱いは下記のとおりです。

協定相手国別の注意事項

ベルギー

オーストラリア

オランダ

スイス

インド

4.各国の年金制度について

日本と協定を結んでいる相手国の年金制度に関する詳細や、協定上の取扱いについては、各国の実施機関のホームページでご確認ください。

(参考)協定の対象となる年金給付

協定相手国の年金制度は下の表のようになっています(通算の対象となる協定相手国における主な年金制度について掲載)。

相手国 協定の対象となる年金給付
年金制度 最低加入年数条件
ドイツ 老齢年金 5年
障害年金 5年かつ障害発生前直近5年間に36カ月の納付
遺族年金 5年
アメリカ 老齢年金 40クレジット(10年相当)
障害年金 障害発生時の年齢に応じたクレジット数(最大40クレジット(10年相当))
遺族年金 死亡時の年齢に応じたクレジット数(最大40クレジット(10年相当)、子または子を養育する配偶者が受給する場合は死亡直前13四半期の間に6クレジット)
ベルギー 老齢年金 なし
障害年金 障害発生前直近12カ月に180日(短期労働者は800時間)の保険期間
遺族年金 なし
フランス 老齢年金 なし
障害年金 12カ月
遺族年金 なし
カナダ 老齢年金 1年
障害年金

直近6年間のうち4年の納付
ただし、納付期間が25年ある場合は、直近6年間のうち3年の納付

遺族年金 10年または18歳から死亡月までの期間の1/3の年数(最低3年)
オーストラリア 老齢年金

(AP)10年居住(うち5年は連続)
(SG) なし ※1

オランダ 老齢年金 なし
障害年金 なし
遺族年金 なし
チェコ 老齢年金 35年
障害年金

障害発生時の年齢によって期間が異なる
20歳未満:1年未満
20歳~21歳:1年
22歳~23歳:2年
24歳~25歳:3年
26歳~27歳:4年
28歳~38歳:直近10年のうち5年
39歳~64歳:直近10年のうち5年、または直近20年のうち10年

遺族年金

寡婦(父)年金:死亡時の受給権等の有無による(受給権がない場合でも労働災害による死亡の場合は、最低加入要件なし(労働災害))
遺児年金:障害年金の最低加入期間の1/2、または、38歳以上の場合、直近10年間に1年または直近20年間に2年

スペイン 老齢年金 15年(直近15年間に2年以上の納付が必要)
障害年金

31歳未満:16歳から障害発生時までの期間の1/3
31歳以上:20歳から障害発生時までの期間の1/4の納付かつ5年(うち1/5は直近10年間にある必要がある)

遺族年金 死亡時の受給権等の有無による(受給権がない場合、直近5年間に500日納付、または15年納付。死亡理由によっては最低加入期間なし)
アイルランド 老齢年金 56歳までに加入歴があること、2012年4月6日以後に退職した場合は520週(10年)および年平均10週の納付済み期間があること
障害年金 260週かつ請求年度または前年度に48週
遺族年金 死亡した日または66歳に達した日のどちらか早いほうにおいて、直近3年または5年間の課税年度において260週の納付(年間平均39週以上の納付が必要)
ブラジル 老齢年金

60カ月~180カ月(1991年7月24日以前に初めて被保険者になった者)
180カ月(1991年7月25日以降に初めて被保険者になった者)

障害年金 1年
遺族年金 なし
スイス 老齢年金

1年

障害年金

3年

遺族年金

1年

ハンガリー 老齢年金 15年(1952年1月1日以前生まれの者は20年)
遺族年金 死亡時の受給権等の有無による
インド 老齢年金 10年
障害年金 1カ月
遺族年金 1カ月
ルクセンブルク 老齢年金 120カ月

障害年金

障害発生前直近3年間に12カ月の納付
遺族年金

死亡時の受給権等の有無による(受給権がない場合、死亡前の3年間に1年)

フィリピン

老齢年金

120カ月

障害年金

障害発生前直近6カ月間に1カ月の納付

遺族年金

死亡時6カ月間に36カ月の納付

スロバキア 老齢年金 15年
障害年金

年齢によって加入期間が異なる
21歳未満:1年未満
21歳~24歳:1年
25歳~28歳:2年
29歳~34歳:5年
35歳~40歳:8年
41歳~45歳:10年
46歳以上:15年

遺族年金

死亡時の受給権等の有無による(労働災害等による死亡の場合は最低加入要件なし)

フィンランド(※2)

老齢年金 なし(所得比例年金)
障害年金

なし
ただし、一部の障害年金については、最低加入期間の要件あり(所得比例年金)

遺族年金 なし(所得比例年金)

スウェーデン(※3)

老齢年金

なし(所得に基づく年金)

障害年金 なし(所得に基づく年金)
遺族年金 なし(所得に基づく年金)

※1 SGは通算対象外。
※2 協定発効時(2022年2月1日)の情報を掲載。
※3 協定発効時(2022年6月1日)の情報を掲載。
参照:国際社会保障協会(ISSA)「Country profiles」
※この表は通算の対象となる協定相手国の主な年金制度について掲載しています。各国の年金制度の最新情報や詳細については各国の政府ホームページ等をご参照ください。

5.必要な手続き

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